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半世紀以上生きてきた私が躁鬱病の寛解まで復活した経験とカウンセラー・メンタルトレーナーとしての言葉を綴ります。

連載「私の恋文」第7回。

歌織ちゃんの病室を訪れたときはたくさん話をしました。
今考えても、よく話題が尽きなかったなあと思います。


歌織ちゃんの調子の良いときは病院の屋上に車椅子で連れて行き、
街並みを眺めながら語り合いました。


「やっぱり田舎がいいなあ」
「ここだって充分田舎だよ」
「うん。でも私が育った田舎は草原があったの」
「空気が違うの。楽に息ができた」
「そうか。病気のためには空気が綺麗なところがいいね」


「鶴添君と行きたかったなあ」
「……」
「草原でピアノを弾いてなんて言わないわよ」
「私はね。生まれてすぐ施設に預けられたの」
「お父さん、お母さんの顔も知らない」
「大学だって奨学金と施設への寄付でできた基金からお金を
出してもらったの」
「大学のテキストやマンドリンもみんなお下がりだったのよ」
「施設で育ったなんて知らなかった。ごめんね。なんか振り回しちゃったんだね」
「ううん。私が好きだったんだからいいじゃない」
「……」
「ああっ、勘違いするな!鶴添君のピアノが好きだったんだよ!」
「今度、その草原のある施設へ一緒に行こうよ。車は軽自動車だけど…」
「いやあ、鶴添君、運転下手そうだからなあ」
「なんでわかるの?」
…笑


私は歌織ちゃんのことを全然知らなかったのです。
自分の歌織ちゃんが好きだという気持ちに溺れているだけで。


仕事が休みの日は歌織ちゃんのもとへ行き、
出張の帰りにも立ち寄って、一晩中付き添うこともありました。


さすがに、妻からは不審に思われ問い詰められました。
私は正直に学生時代のこと、今の歌織ちゃんとのこと、
これからも通うつもりだということも伝えました。


「私は5歳も年下の男性(人)と結婚するんだから浮気される覚悟はしていたわ。
でも、今あなたがやっていることは浮気じゃなくて本気だよね」
「……」
「その女性(ひと)はあなたが結婚しているって知ってるの?」
「いや、何も言ってない。俺はもてなかったから独身だと思っているかもれない」
「知らせないことね。心臓が悪いんでしょ?ショックを与えるのはよくないわ」
「あなたが好きなようにしなさい。でも家庭は捨てないでね。
まだ子供達は独立していないし、ローンだって残ってるし」
「……」
「私は許してはいないからね。多分一生許さないと思う。でも最近のあなたは
過労のせいで家にいるときは寝てばかりで私と口もきかなかった。そんな
あなたが元気でいられるのならそれでいい。でも無理はしないでね」
「ごめん…。ありがとう…」
私は涙が止まりませんでした。


~第7回終わり~



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