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半世紀以上生きてきた私が躁鬱病の寛解まで復活した経験とカウンセラー・メンタルトレーナーとしての言葉を綴ります。

連載「私の恋文」第5回。

大学生活は相変わらずピアノにしか心を開かない毎日でした。


しかし、表面上は友達を作るのに一生懸命でした。




そんな日々のある夏の昼間、誰もいない部室でピアノを弾いていたところ、


(昔は空調は付いていなかったので、暑くて人の出入りは少なく、風を


通すために、扉を開けていました)


扉のあたりで咳をする音が聞こえました。




近寄ってみると、小柄の女子学生が立っていました。


「こんにちは」


その声に惹かれて目を見ると、驚くほど澄んでいて輝いていました。


「ここで聴いていていいですか?」


彼女は微笑みながら明るい声で話しかけてきました。


「もちろん、いいですよ。僕の演奏なんかでよければ…」




恥ずかしながら全く女性にもてなかった私は、


「チャンスだ」


なんて思ってしまいました。




それから30分ほど演奏して、


「暑いけど中に入って麦茶でも飲みませんか?」


と誘うと、彼女は右足を引きずりながら、


「失礼します」と


部室に入ってきました。




話を聞いていると、マンドリンクラブに所属している同学年の娘だということがわかりました。


名前は歌織ちゃん。


「素敵な名前ですね。」


「両親が音楽好きだから付けてくれたんです」


「じゃあ、歌うのも好きなんだ」


「いえ、生まれつき心臓が悪くて、あまり体力が無いんです」


「そっか。それじゃ今度マンドリン聴かせて」




マンドリンクラブはサークル会館の同じ階。


それから毎週のように彼女は部室を訪れ、たまにマンドリンを


持ってきて合奏したりしました。




そして、暑い夏も終わろうとしていたころ、マンドリンクラブの部長がピアノ会の


部室に訪ねてきて、冬の定期演奏会に出演するはずだったゲストのピアニストが


指を怪我してしまったので代役は頼めないかと。




急な話で、対応できるのは私しかいなさそうでした。


歌織ちゃんのこともあって私は即答で引き受けました。




それから、週に2、3階、音楽ホールでの練習が秋まで続きました。


歌織ちゃんとの関係も徐々に密になってきました。




本番は1500人収容のコンサートホールで満席の中行われました。


私の演奏は、少しミスタッチはあったものの超絶技巧の部分で観客を


魅了することが出来ました。




演奏会が終わって片付けも終わると打ち上げです。


自分の所属するサークルの宴会よりも盛り上がり、


帰りは私が歌織ちゃんを送ることになりました。




お酒の勢いもあって、ついに歌織ちゃんに交際を


申し出ました。




答えは、


「私はこんな体だし、男性とお付き合いなんてできないです。


でも鶴添君のピアノはずっとそばで聴いていたい」




私はこれで充分でした。


純愛でした。


一点の曇りもない瞳を輝かせて、歌織ちゃんがそばで自分がピアノを


聴いてくれる。


それだけで充分でした。




しかし、私の自己中な性格のせいで幸せな時間は消滅してしまいます。








~第5回終わり~






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